3章2節 狭義の組織神学

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初版 2008年6月8日

1. 意義

 狭い意味での組織神学は、聖書に基づく教え(教理)を、テーマごとに論理的に組み立てて、それぞれの教理に説得的な有機的関連性を見出す分野です。テーマは、いろいろな組織神学の本の目次項目を見てもわかるように諸説ありますが、大きな分類としては「神」「罪」「救い」「終末と天国」などがあります。組織神学に取り組むことで、論理的・系統的にバランスのとれた聖書の教理を理解することができるので、異端に陥る危険を予防することができます。

2. 教義学と組織神学

 名称については、ドイツなどのヨーロッパ大陸系の伝統では「教義学」と呼ぶことが多く、英米系の伝統では「組織神学」や「教理神学」と呼ぶことが多いようです。「教義」とは教会公認の教理のことですが、「教義学」(Dogmatics)という場合には、教会の教義を研究して形成・発展していくところに比重が、「組織神学」(Systematic Theology)という場合には、教義形成にこだわらず聖書に基づく教理を組織的・体系的に把握するところに比重があるようです。ただ、どちらも、神を礼拝する教会の神学であることには違いなく、微妙なニュアンスの違いとも言えます。

3. 信条学(Symbolics)

 信条(Creed)とは、キリスト教教理の主要点をわかりやすくシンプルに表明するための形式化された公的文書で、文書化された教義(成文教義)と言えます*1。教会の内側に対しては護教的、教会の外側に対しては弁証的な性格をもっています。
 語源のラテン語「Credo」は「私は信じる」を意味するように、信条の基本型は「信仰告白」です。「あなたは、生ける神の御子キリストです」(マタイ16章16節)というペテロの告白に始まり、各時代の歴史的教会が三位一体の神に対してそれぞれの信仰を告白してきた伝統が根底にあります。

*1 教理が教会公認となって教義になり、教義が文書化されて信条になる関係です。「教理教義信条

 信条学とは、この信条を歴史神学と組織神学にまたがって学ぶ分野で、歴史的諸教会の信条を比較・分析することによって、キリスト教信仰の実体を深く理解しようとするものです。信条が文書化された教義であるため、信条学は教義学の一環とも言えます。
 信条学では、次のようなものを研究します。聖書にみられる信条的な信仰告白(Iコリント15章3~7節、ピリピ〔フィリピ〕2章6~11節など)や古代公同信条(使徒信条、ニカイア・コンスタンティノポリス信条など)、プロテスタント信条(アウグスブルク信仰告白、ウェストミンスター信仰告白など)、カトリック教会の公会議文書(トリエント1545~63年、第二ヴァチカン1962~65年など)、現代の信条(バルメン宣言、ローザンヌ誓約など)。