ハガイ書には細かな日付が出てきます。ペルシャの王ダリヨスの第2年の6月1日(1章1節)、6月24日(1章15節)、7月21日(2章1節)、9月24日(2章10・18・20節)です。この背景となる歴史がエズラ記にあります。ペルシャの王クロスの勅令によりエルサレム帰還を許された人々は、早速、神殿の再建に取り掛かったのですが、彼らは貧しく、妨害は激しく、工事は十数年後に中止されました。それがダリヨス王の第2年でした(エズラ4章24節)。
そこで立てられた預言者がハガイでした。彼は言います。「この宮が廃墟となっているのに、あなたがただけが板張りの家に住むべき時であろうか。今、万軍の主はこう仰せられる。あなたがたの現状をよく考えよ」(1章4〜5節)。
オレたちは食うのにやっとなのだ。身を粉にして働いてもわずかな収穫があるばかりだ・・・。そんな訴えをしたであろう民に向かって、ハガイは説きます。「あなたがたは、多くの種を蒔いたが少ししか取り入れず、食べたが飽き足らず、飲んだが酔えず、着物を着たが暖まらない。かせぐ者がかせいでも、穴のあいた袋に入れるだけだ」(1章6節)。
そうなのです。順番が間違っていました。彼らの帰還は神殿再建のためだったはずなのに、いつしかそれは生活再建に置き換わってしまっていたのです。ハガイは主のことばを取り次ぎます。「山に登り、木を運んで来て、宮を建てよ。そうすれば、わたしはそれを喜び、わたしの栄光を現そう」(1章8節)。
民は、このことばに聞き従い、主を恐れたのです(1章12節)。そして、民の信仰の応答に対する神の約束はこうでした。「わたしは、あなたがたとともにいる」(1章13節)。
主イエスのことばが、ローマ帝国の支配にあえぐ民に語られたのは550年ほど後のことです。「だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます」(マタイ6章33節)。
私たちも「あなたがたの現状をよく考えよ」(1章5・7節)との問いに照らされて、第一にすべきことを第一としようではありませんか。