エリフの主張は、長いだけで新しいものがありません。
エリフは「私たちが見つけることのできない全能者」(37章23節)と語っています。「見つけることができない」というのは、ちっぽけな人間の目には神様ご自身はもちろんのこと、その御計画も見極めることができないということです。
「ヨブよ、お前のような小さな人間が何を言えようか」と、ヨブの反論をストップさせる言葉です。
心身ともに痛めつけられたヨブは、さらなる言葉の暴力で、もはや限界です。心も体も悲鳴を上げることすらできません。
続きに「力とさばきにすぐれた方。義に富み、苦しめることをしない」とあります。苦しむヨブを皮肉るかのような言葉です。
エリフの全6章にわたる主張は、要するに「神は正義の神である」ということ、これが第一です。そして、「その正しさを持つ神は人間よりも圧倒的に大きな存在だから、人間には『見つけることができない』、それほど神は偉大なのだ、だから神の正しさとヨブの正しさを突き合わせて論争するなど、人間の分際を超えているからよしなさい」ということです。
エリフの言っていることは、あっているか間違っているかと言えば、「あっている」と言えましょう。そしてヨブが自分の無罪性をトコトン主張するのは間違っていると言えましょう。はじき出す答えとしてはエリフの主張に軍配が上がると思います。
ただ、ここには生身の人間に対する愛がありません。言ってることは間違っていない、ただ愛がなきゃ、どんな正論にも価値がないのです。