痛々しいヨブを目の前にして、何も語ることのできなかった3人の友人のひとり、テマン人エリファズが、ヨブに対して意見を述べます。
エリファズは、ヨブに人の助言を聞く余裕がないのを承知のうえで、「かつて多くの人を訓戒し、心くじけた人を力づけたのに、どうして自分が苦難に遭うとくじけてしまうのか」と、問いただします。そして、「不幸には必ず原因がある。罪を犯した者が不幸を報いとして受けるのだ」と、いわゆる因果応報の法則を一般的に述べます。
しかし、少なくともヨブの場合には、この法則は当てはまりませんでした。それにもかかわらず、エリファズの言葉は、ヨブの不幸の原因が彼の罪であることを暗示していたので、ヨブには非常に乱暴な言葉となりました。
私たちも、人に対して意見・アドバイスを述べるとき、「正論だけ」を述べていないでしょうか。その人の心の状態や抱えている問題などを正しく捉えたうえで、正論でストレートに言葉をかけるのではなく、その人の立場になって言葉をかけてあげる必要があるのではないでしょうか。
ヨブは友人エリファズの意見に激しく反発しつつも、最後24節から「本当に私の痛みと向き合って、私と一緒に考えてくれ」と助けを求めます。苦しみのなかにありつつも、ヨブの遜った言動・姿勢には、教えられます。