ネヘミヤは組織作りにも卓越した才能を発揮しました。彼はユダの各地からあらゆる階層の人々を募ります。実際、祭司、レビ人、地区の有力者の息子、商人、金細工人、香料作りなど、あらゆる層の人たちが城壁の建設に参加しました。名前を挙げられているのは有力な人々であったようです。各人は競争心や嫉妬を抱くことなく、喜んで自分の役割を受け入れ仕事をしたことでしょう。
さらに、敵の妨害が予想されるため、建設の時間はなるべく短縮する必要がありました。そこでネヘミヤは人々をグループに分け、城壁の各箇所で同時に作業を行うようにしました。その結果、建設工事はエルサレムの周囲の至るところですさまじい早さで一斉に進行していったのです。素晴らしいリーダーシップとチームワーク。自分の仕事がいかに全体に貢献するかを理解している、という姿勢は、私たちも見習いたいものです。
突如としてエルサレムで城壁再建の集中工事が開始されたため、周囲の人たちからの反対、妨害運動が起きてきました。ホロン人サヌバラテ、アモン人トビヤのような勢力ある指導者たちが、真っ先にネヘミヤたちを非難し始めます。エルサレムが強化されると彼ら周辺諸民族が不利益を被ることになるからです。
はじめ、彼らはユダヤ人の力をみくびり、この大事業を完成させることなどできないだろうとあざけっていました。しかし工事が急ピッチで進行しているのを見ると、いよいよエルサレムの直接攻撃を計画します。そこでネヘミヤはその陰謀を知ると、神様に祈り、見張りを日夜配置することにしました。
しかし、それでも民の気力は低下していきます。ネヘミヤはさらに民を励まし、工事を中断することなく警備を二交代制にし、万全の備えをしました。ここに、厳しさのなかでも全力を尽くすネヘミヤとユダヤ人の姿がうかがえます。ネヘミヤの祈り、信仰、勇気、勤勉さ、そして彼の見事な手腕を見ると、ネヘミヤがこのことのために神様から召された器だということがよく分かります。