引き続いて、ダビデ王朝第5代国王(南北分断後から数えると、第3代ユダ国国王)の、アサの生涯です。主に従い続けてきたアサの生涯ではありましたが、その晩年にあっては、気がゆるんでしまったのでしょうか、対北イスラエル王国政策にあたって、主なる神様ではなく、近隣のアラムに助けを求めてしまいます。その「罪」のために、最晩年は病のうちに生涯を終えることになってしまいましたが、それにもかかわらず、「ダビデの王家は途絶えることはない」という主なる神さまの約束は続いていきます。クーデターもなく、アサの息子、ヨシャパテ(ヨシャファト)が、ダビデ王朝第6代国王(南北分断後から数えると、第4代ユダ国国王)に即位いたします。ヨシャパテの治世のもと、南ユダ国は大いに栄えていきます。
ヨシャパテは、その息子ヨラムと、かつて敵対関係にあった北イスラエル国のアハブ王の娘、アタルヤとを政略結婚させます(18章1節、21章6節、22章2節)。こうして、南ユダ国と北イスラエル国とは姻戚関係を結んだため、ヨシャパテ率いる南ユダ国は、北イスラエルの対アラム政策に巻き込まれて行きます。「主に従う」ということを旗印として掲げる南ユダ国と、その「主」を、金の子牛のイメージにすり替えてしまった北イスラエル国。しかもイスラエルのアハブ王は、バアル崇拝者です。健全な同盟関係を結ぶためには、何とかして「主なる神様のもとにある一致」を確立させる必要があります。ヨシャパテはこの同盟関係を、「主の言葉を求める」という行為でもって始めることを提案いたします(18章4節)。しかしながら、お安いご用とアハブが連れてきたのは、預言者ならぬ400人の太鼓持ち。皆一斉に戦いのアジテーションを繰り返すばかりです(18章5節)。げんなりするヨシャパテです。本物の預言者をアハブに要求するも、あまり乗り気ではない様子のアハブ(18章6〜7節)。2人の王の信仰面における温度差は明らかです。
そして登用されてくる「本物の預言者」ミカヤです。「君もちゃんと太鼓持ちの役割を果たすんよ」と、しっかり釘を刺されています(18章12節)。北イスラエル国において、国王御用達の預言者が、もはや預言者としての機能を果たしてはいないことを如実に物語るエピソードです。それならばと、主の御名によって語ることはせず、(おそらく)ふざけた、やる気のない態度で「がんばってー、くーださーいよー」と述べるミカヤ(18章14節)。ぶち切れるアハブ。「本当の預言を気合い入れてせんかい!」と(18章15節)。そのとき、急に態度を変えるミカヤ。「言いましたね。それならば・・・」と惨敗を預言し出します(18章16〜24節)。ミカヤ、悪い男です。
その後、アハブは卑怯極まりないカモフラージュ戦略を立て、ヨシャパテを身代わりにしようとしますが(18章29節)、主はヨシャパテを守られ(18章31〜32節)、アハブは戦死してしまいます(18章33〜34節)。