歴代誌第二の1〜4章は神殿完成に至る過程を示す。2章はツロの王フラムの協力を得たこと。3章は着工。4章は内装と用具の製作。
1章では、神から「何を与えようか。願え」と問われたソロモンが知恵と知識を求め、さらに富、財宝、誉れも約束されたことが記されている。神の御心にかなう祈りは、必ず聞かれ、それ以上のものが与えられる。
では何が神の御心にかなう祈りなのだろう。ソロモンは神が自分を王としたことを認めている。そして任命された王としての必要を求めた。神が私をどのような務めに招いておられるのかわきまえて、その務めに必要なものを求める、これが御心にかなう祈りなのだろう。
自分が召されている働きをわきまえたい。そして、そのために必要なものを求め、実りと祝福を受けるものとさせていただきたい。
2章、ツロの王フラムの援助は、イスラエルの事業に外国から協力が与えられたことを示す。ソロモンの時代、諸外国との交流が祝福された例は他にもあるが、神殿建設前、ソロモン王の治世初期の段階での協力が特筆に値した。ソロモンは「主のために宮を建てる」(6節)そのために「人を送ってください」(7節)と願い、フラムはイスラエルの神を賛美しつつ、ソロモンの援助を決める。
目的が神のためにであるということを明確にし、それに同意するフラムからソロモンは援助を受けた。神のためという良き意志が、賛同者、協力者を得たのである。それは欠けが満たされるという以上に、才知に恵まれた熟練工(2章13節)の優れた技を借り得たことであった。
かくして、必要は備えられ事業は果たされる。3章に礎、その他の寸法が記されている平面図の広さくらいは想像してみたい。1キュビトおよそ50cmで計算すると、長さ30m、幅10m。王の宮殿と比べると、さほど巨大ではない。25mプールを想像してみると身近に感じられる広さだ。
しかし、これを王宮に先んじて完成させたということが重要。またこれまでの歴史、幕屋での礼拝を引き継ぐという意図が優先した。偉容を誇りとしたのではない。
4章には、青銅と金による用具の完成が記されている。使用した青銅は計り知れぬ量で、至聖所のあたりの用具は、金、純金によった。混じりけのない純金という言葉が印象的。神礼拝の道具が、試された金で造られたこと、それが記録されたことによって、それを用いる人々の礼拝者としてのありようを教えることになったのではないか。真の神に対して、混じりけのない思いで近づくこと、最善を携えて近づくこと、それを求めることを教えられる。
ただし、イスラエルのいつの時代もそのような礼拝が備えられていたのではない。