エフーはアハブの子70人も皆殺しにしました。策略を用いてバアルに仕える預言者、祭司、信者たちを皆殺しにし、バアルの石の柱を焼き、神殿を壊しました。しかし、これは彼がイスラエルの神、主に立ち返ろうとしたからではありません。アハブの影響力を抹殺し、自分の王位を確立するためだったのです。彼はユダの王アハズヤも殺しました。彼がアハブの親戚だったからです。
一方、ユダでもクーデターが起こりました。アハズヤが死んだと見るや、その母アタルヤが王の一族をことごとく滅ぼし、自分が王の位につきました。彼女はアハブの父オムリの孫娘で、オムリがジムリを殺して王位を奪取したことをまねたのでしょう。
ダビデの時代にも、その息子アブシャロムとダビデの間で、王位をめぐって国を二分する骨肉の争いがありました。地位を巡る骨肉の争いほど醜いものはありません。しかし、それをやめられないのが人間の罪というものでしょう。
アハズヤの子どもたちのうちで、乳飲み子だったヨアシュだけが、アハズヤの姉妹であるエホシェバによってうまく隠されて、殺されることを免れました。おそらく、アタルヤは必死に探したでしょうが、結局、見つけることができず、赤子だからとの油断もあったのでしょう。このことが後に彼女の命取りになりました。
ヨアシュには祭司エホヤダがついていました。彼はヨアシュに近衛兵を配して守らせ、ヨアシュが7歳になったとき、彼を王としました。アタルヤは殺され、バアルの宮も壊され、祭壇と像も打ち砕かれ、バアルの祭司も殺されました。アタルヤが死ぬと、エルサレムには平穏が戻りました。アタルヤの治世は強権政治、恐怖政治だったのでしょう。自分の欲望のために権力を手に入れた者の末路は、このようなものだということだと思います。