信仰偉人ダビデの「最後のことば」は、一種の預言と考えられた(申命33章1節参照)。ダビデの遺言歌は、「すべては備えられ、また守られる」(5節)というダビデ契約を歌い上げたもので、ダビデの神に対する信仰をよく表した重要なものである。
また、ダビデの勇士たちの名簿は、宮廷史を中心に描かれてきたサムエル記の物語を、軍隊の面から傍証してくれるので、歴史的にも重要である。
ダビデは人口調査を行なった。1節に「主は言った」と記されているが、歴代誌第一21章1節では「サタン」となっている。直接の働きはサタンであるが、神の許しのもとにある出来事だったようである。
人口調査は、それ自体は罪ではない。しかし、ダビデが良心の咎めを感じたのは、130万の兵力とその頂点に立つ権力を味わい、己の力を誇ってしまった、その霊的堕落を意識したからかもしれない。
人は成功すると、自分の力を誇ってしまいがちになる。周囲の「すごい!さすが!」と褒めてくれる言葉に心を奪われやすい。人は息することさえも自分の力ではできない。神のくださる恵みを数え、いつも神に帰ることを忘れないでいたい。