21章から24章までは、一般的に付録と考えられている。物語が時代順でないことや、時代背景が不明なこと、回想的記述やダビデの歌、勇者名簿などの内容から、そう推測されている。
21章は、サウルの子孫7人の処刑、ぺリシテ戦の英雄について書かれている。
1〜14節に記されているサウルの子孫の処刑は、9章のメフィボシェテを宮廷に迎えた出来事より前か後か、意見が分かれるところである。
15〜22節はペリシテとの戦いの記録である。時代的には、ダビデが王に即位して間もなくの5章17〜25節のことか、7章1節前のものか、8章1節に記されている戦いの付録記事か、または晩年のものか、あるいは現在の聖書には記されていない戦いの事件か、多くの意見がある。
ダビデがサウルから「救い出された日」を定めることは困難である。
この章と詩篇18篇は、ほぼ同じ内容である。サウルからの解放、イスラエルの敵との戦いにおける神の助けについての感謝が記されている。
本詩に歌われたダビデの、神との関係の自覚は、注意深く読まなければいけない。ダビデは勝利を徹底的に神の手に帰し、それどころか戦い方の習得まで神の恵みに帰する。自己義認と自己過信がなく、高ぶらないで悩む心のきよさが、新約聖書の信仰に近いものである。