アブシャロムの死を悲しみ嘆くダビデのために、ダビデ軍の劇的な勝利が、まるで敗北のように描かれている。その後、ダビデの復位へと移っていく。ユダ以外の全イスラエルがダビデを支持したのに、ダビデはユダを求めた。
そして16章でダビデをバカにしたシムイが登場する。シムイが赦しを求めたのに対して、ダビデの仲間たちは死罪を主張したが、ダビデは赦した。王はここで、「あなたは、あなたを憎む者を愛し、あなたを愛する者を憎まれる」と非難した者たちに、「自分を憎む者を愛する」道を示したのかもしれない。
王の周りには王位継承の混乱が続いている。よこしまな者と書かれるシェバ、ヨアブによるアマサ暗殺、最後に知恵ある女が用いられた。「あなたはなぜ、主の譲りの地を、のみ尽くそうとされるのですか」(19節)
サムエル記は、最後に新しい王国の閣僚名簿を載せている。「役務長官」という新しい職名は、強制労働に関わる職務である。このことはサムエルによって預言されていた。「あなたがたは王の奴隷となる。その日になって、あなたがたが、自分たちに選んだ王のゆえに、助けを求めて叫んでも、その日、主はあなたがたに答えてくださらない」(第一サムエル8章17〜18節)。