エリコの町は堅固な城壁に囲まれてその門を堅く閉ざしていましたが、主はヨシュアにエリコをあなたの手に渡したといわれました。主が命じる戦いの方法は、7人の祭司たちが7つの雄羊の角笛を持って契約の箱の前を行き、戦士たちすべてが町の周りを7日間回るというものでした。6日間は1度ずつ、7日目には7度町を回り、祭司たちが角笛を長く吹きならしたとき、民はみな大声で鬨の声をあげる。そして町の城壁が崩れたら、おのおのまっすぐ登っていくという方法でした。しかも、鬨の声をあげるときまで、声を聞かせても、口からことばを出してもならず、ただ沈黙を守り、黙々と町の周りを回らなければなりませんでした。
ヨシュアと民は主に命じられたとおり、これを守り行い、7日目を迎え、祭司たちが角笛を吹いたとき、ヨシュアは民に鬨の声をあげるよう命じ、エリコの町の城壁は崩れ落ちました。そして、ラハブとその家にともにいる者たちをすべて生かし、聖絶のものに手を出さず、主のために聖別された、銀、金、青銅の器、鉄の器は主の宝物倉に持ち込むよう命じました。この日イスラエルは大勝利を収め、異邦人の町で唯一神を信じその信仰を告白したラハブとその家族だけは、2人の斥候との誓いどおり生かされ、イスラエルのなかに住む者とされました。
ところが、このエリコの戦いのなかで、ユダ部族カルミの子アカンが聖絶のもののことで不信の罪を犯しました。そのことを知らないヨシュアは、次の戦いのため、ベテルの東、ベテ・アベンの近くのアイに人々を遣わしました。しかし、斥候は判断を誤り、民を全部行かせるのではなく、2,000〜3,000人で十分だとヨシュアに報告します。そこでヨシュアは3,000人を送りますが、彼らはアイの人々の前から敗走することになりました。
原因を知らないヨシュアとイスラエルの長老たちは、主の箱の前で夕方まで地にひれ伏し、頭にちりをかぶりました。「あなたは、あなたの大いなる御名のために何をなさろうとするのですか」と。主はヨシュアに、イスラエルが聖絶のもののことで罪を犯したことを告げられます。そして、くじで取り分け、その者を、所有物と一緒に火で焼くよう命じられました。
翌朝くじによって取り分けられたアカンは、ヨシュアに告白するよう言われて初めて、自分が何をしたかを語ります。アカンの語ったとおりであることを確認した彼らは、アカンの取った聖絶のものを天幕の中から取り出し、それらを主の前に置きました。
そして、ヨシュアは主が命じられたとおり、全イスラエルとともにゼラフの子アカンと、彼の所有物すべてを取ってアコルの谷に行き、彼を石で撃ち殺し、彼らのものを火で焼き、石を投げつけ、石を積み上げました。そこで、主は燃える怒りをやめられました。
約束の地に入って最初の戦いであるエリコ陥落は、私たちにとって非常に印象的です。城壁を崩すために、具体的な対策を講じるのではなく、ただ城壁の周りを7日間行進する。普通なら何も起こり得ない行動が、主の命令によるものであるとき、命令に従い、信じて行うことによって、主の力によって城壁さえも崩れ落とされる。私たちの不可能は、神にとっての不可能ではないことの証拠です。
イスラエルはそのことを実際に体験し、肌で感じましたが、次の戦いで大きな失敗をしてしまいました。背景にアカンの罪があったことはもちろんですが、もし、次の戦いにおいても主に伺い、どのように戦うべきかをたずねていれば、その時点でイスラエルのうちにある聖絶のものに対する罪は明かされていたはずです。これは、イスラエルにとって、ヨシュアにとって、大きな教訓になりました。主の守りによって大勝利を経験したからといって慢心してはならない。常に主の前に謙虚に、御心をたずね求める姿勢を失ってはならない。私たちにとっても、気をつけていかなければならない教訓です。