「レビの子たちよ。よく聞きなさい」(16章8節)
16章と17章は、大祭司アロンの職というものが、決してアロンの私心によって定められたものではなく、もちろんモーセの個人的な便宜によって置かれたものでもないということ、すなわち、アロンは、主なる神によって大祭司に任命されたものである、という真理が目に見えるかたちで示されている箇所です。
まず、レビの子ケハテの子孫であるコラと、ルベン族の子孫であるダタンとアビラム、さらにペレテの子オンの間に起きた共謀事件が語られます。彼らは、モーセとアロンの2人に向かって、「なぜ、あなたがたは、全会衆の上に立つのか」と叫びました。
ケハテ族は、この旅程において、契約の箱を、肌身にかついで持ち運ぶという実に光栄な職務を割り当てられていたのでした。コラたちが、モーセとアロンに対して逆らった直接的な動機は何であったでしょうか。アロンと同じレビ族であるコラが首謀者であるということから、モーセとアロン、特に祭司職にあるアロンに対して、思い上がりから来る嫉妬心が起きていたのでは、と、モーセの言葉(10節)から推定することができます。自分は、同じレビ族であり、そのなかでも契約の箱をかつぐケハテ族の出身なのだ。自分が祭司となってしかるべきだ。しかるに、モーセとは何者だ、アロンとは何者だ。彼らがいつも自分たちの上に立つことは、誰が認めたのか。
この事件の共謀者は、250人に上ったと記されています。同じような悪意を持つものがそれほどに多かった、ということは、イスラエルを導くモーセとアロンの日ごろの労苦がいかに大きいものであったか、想像されます。
主なる神は、彼らの思いあがりに対して怒り、コラとその一族は、割れた地面に飲み込まれて、生きながらにして、よみに下りました。ただ、子どもたちは、その災厄からは免れました(第一歴代誌6章33節以下)。ほかの250人に対しては、主のところから火が出て、彼らを焼き尽くしました。
それでもなお、モーセとアロンを批判する人たちがいる、という聖書の記事には、驚かされます。イスラエルは、モーセとアロンが神によって選ばれた器であることを、たったいま、目の当たりにしたのです。それでもなお、批判、不平がとまらない。主なる神の怒りも高まりました。アロンとモーセを除いた人々をすべて滅ぼす、と仰せられました。ただちに神罰が始まります。モーセの必死のとりなしによって、かろうじて死者の数は、14,700人でとまったのです。
イスラエル人たちに対して、2人が神によって選ばれた器であることを、再度示すために、主はそれぞれの部族から1本ずつ杖を出させます。そして、アロンの杖だけが芽をふき、蕾を出し、花をつけ、アーモンドの実を結んだのでした。「レビの子たちよ、よく聞きなさい」という御言葉は、神に仕えるものとして召されたレビ族の人々は、特別に神の御言葉に忠実であるべきこと、を示しています。
今、信仰を与えられて、神に仕える者とされた私たちもまた、一段と御言葉をよく聞くようにと、教えられているのです。神の栄光を見た者、永遠の恵みの契約を知りえた者は、その特権にふさわしく、御前に謙り仕えぬく者として、主イエスにならって従い行けるように、祈りましょう。