28章では、まず、アロンとその子らを祭司として任命し、主に仕えさせるようにとの命令がなされています。そして、アロンの装束について詳細に指示がなされています。彼の装束は「栄光と美を表す聖なる装束」(新共同訳は「威厳と美しさを添える」)と呼ばれています。それは大祭司として相応しい権威と身分を表わすものです。
目を引くのは、さばきの胸当てにはめ込まれた12の宝石です。それぞれの宝石はイスラエルの十二部族を表わしています。アロンは聖所に入るとき、十二部族の名を胸の上に載せ、絶えず主の前に記念とするように命じられました(28章29節)。祭司は神と人との間の執り成しをするのが主たる務めですが、ここでアロンはイスラエル民族を代表して、祭司としての務めを果たしていることがわかります。それを民にわからせるために、アロンの装束は神が指示されたとおりに作られ、また着用されなければならないのでした。
そして、続く29章では、祭司の聖別と任職について語られます。任職の手順が記されますが、アロンは7節で「油そそぎ」を受けます。「メシア」また「キリスト」とは「油注がれた者」を意味します。旧約聖書では祭司や王の任職にあたっては、油が注がれます。油は神の霊の象徴であり、油を頭に注ぐことによって、彼が神によって選ばれ、立てられたことを明らかにするのです。イエスがキリストと呼ばれるのは、まことの預言者・祭司・王として立てられた者であることを示しています。アロンの子らは代々、祭司の務めを果たしましたが、キリスト・イエスこそまことの永遠の祭司なのです。次の御言葉のとおりです。
「キリストは永遠に存在されるのであって、変わることのない祭司の務めを持っておられます。したがって、ご自分によって神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります。キリストはいつも生きていて、彼らのために、とりなしをしておられるからです」(ヘブル7章24〜25節)
出エジプト以後、神との契約が改めて交わされ、そして幕屋が建てられ、祭司が任命されました。これにより、イスラエルの礼拝は神の御心に従って整えられていきました。約束の地を目指しながら、神を礼拝する民として必要なものが、一つ一つ、神御自身の手によって整えられていったのです。これらは皆、民が神を神とし、主と共に歩み続けるためでした。
主なる神は言われました。「わたしはイスラエル人の間に住み、彼らの神となろう。彼らは、わたしが彼らの神、主であり、彼らの間に住むために、彼らをエジプトの地から連れ出した者であることを知るようになる。わたしは彼らの神、主である」(29章45〜46節)