大風が吹き、海がふたつに分かれて壁となり、その間を歩いて進んで行く大勢の人々・・・。映画『十戒』の壮大で衝撃的なシーンが、この14章に記されています。イスラエルの人々は「意気揚々と」(14章8節・口語訳・新共同訳)宿営から出て行きました。エジプトにおける苦しい奴隷状態から解放された喜びは、民の足取りを軽くしていたのでしょう。
しかし、考えを変えたパロ(ファラオ)は、えり抜きの戦車隊を率いてイスラエルを追跡し、ついには海辺で宿営していたイスラエルの民に追いついたのです。民は恐れのあまり、主に向かって悲痛な叫びをあげます。奇跡をもってエジプトから連れ出してくださった主に対し、「何ということをしてくれたのか」と、恩知らずな叫びをしているのです。
恐れ惑う民に、モーセは「恐れてはいけない。しっかり立って、きょう、あなたがたのために行われる主の救いを見なさい」(14章13節)と言ったのです。そして「主があなたがたのために戦われる」(14章14節)と言って、主の言われるとおりに海に向かって進んでいったのです。主の仰せのとおり、主はイスラエルのために先頭に立って戦い、エジプト軍を全滅させ、勝利を与えてくださったのでした。
15章では、主が与えてくださった勝利に対してイスラエルがささげた賛美が記されています。中心は13節の「あなたが贖われたこの民を、あなたは恵みをもって導き、御力をもって、聖なる御住まいに伴われた」という部分です。イスラエルに勝利をもたらした主は、恵みをもって導き、民を贖い、その御力をもって約束の地へと連れて行ってくださるお方なのです。民は困難にあうたびに不平不満を主につぶやきますが、主の真実さは決して変わることがありません。
私たちもまた、いつも主の救いを仰ぎ見、思い起こさなければなりません。その救いはひとえに主の恵みによるのであり、そうして私たちを罪のなかから贖い出してくださる主は、約束の地、天の御国まで連れて行ってくださるお方なのです。イスラエルを導かれる主の真実な姿をとおして、私たちの人生をも真実に導いてくださることを確信し、主に賛美をささげましょう。