ヨセフの解き明かしのとおり、世界的な飢饉が到来しました(41章57節)。エジプトに穀物があるというニュースを聞きつけたヤコブは、買い付けのためにさっそく10人の息子たちを送り出します。ただベニヤミンだけは、災いに遭わないようにと留め置きました。ヤコブは信仰の人でしたが、ヨセフを失って後、同じ妻の唯一残された子ベニヤミンを偏愛するあまり、彼を失うのを極度に恐れたのです。
また、袋に銀が返されていたことを知ったときも、身を震わせて恐れました。エジプトに行った10人の息子たちも同様でした。
他方、ヨセフは、どんなときも人を恐れず、神様を恐れ、主に信頼しました。困難にあっても神様に恨みごとを言わず、出世や保身を図ることもしませんでした。神を恐れていたからです。
「人を恐れるとわなにかかる。しかし主に信頼する者は守られる」 箴言29章25節(新改訳)
いよいよ飢饉が激しくなり、再び穀物を求めてヨセフのところに行かなければならない状況になりました。ベニヤミンを行かせることに頑なだったヤコブですが、一族の危機を前に、ベニヤミンの同行を決心します。結末を知っている読み手にとってはなかなか実感のわかないところですが、このヤコブの決心は相当の覚悟、自分の命以上のものを賭け、信仰を働かせ、祈って一歩踏み出すものでした(14節)。そして、その覚悟を促したのは、ユダの覚悟だったのでしょう(9節)。
私たちも、信仰をもって神様に従うときに、信頼、服従、犠牲の決心を求められることがあるかもしれません。けれど、後から振り返れば、このヨセフ物語を読むかのように、神様のご計画どおり、恵み豊かであったことを知るのです。
ヨセフの夢(37章7・9節)は成就(43章26・28節)しました。神様の預言はすべて成就するのです。また、ヨセフは、安心しなさいと声をかけ(23節)、兄たちを食卓に招きました(34節)。神様は、決心して歩みだす者を安心へと導き、祝宴に招いてくださるでしょう。