年を重ね老年を迎えたアブラハムは、契約を受け継ぐ息子イサクにふさわしい伴侶を求めて、しもべを、自分の生まれ故郷へと遣わします。
このしもべはアブラハムの全財産を管理する最年長のしもべと言われ、アブラハムにとって最も信頼のおける人物として登場してきます。彼の忠実さは、この後の物語を読み進めればわかるように、実に信仰深く真実味にあふれた奉仕の姿勢に表れています。その信仰や決断力、人生経験から来る人物判定などが用いられて、イサクに最もふさわしい女性が見出されるに至るのです。
こうして遣わされたしもべは、神の導きを求めて具体的に祈ります。私たちも神への願い求めにおいては、大胆かつ具体的に祈るものでありたいと思います。
しもべがまだ祈り終わらないうちに、一人の女性が水瓶を肩にしてやって来ます。聖書は、しもべより早く、読者に対して、この女性こそがしもべの祈ったとおりの、まさにその人であることを知らせてくれます。その娘は、アブラハムの兄弟ナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘リベカでした。
リベカとの摂理的な出会いを経験したしもべは、すぐさまその場でひざまずき、神様への感謝の礼拝をささげます。この旅の途上、幾度となく繰り返される祈りの姿です。彼がいかに神に全面的な信頼を置いてこの業に取り組んでいるかが、うかがい知れます。
神に祈ったことはすでに叶えられたと信じて進む信仰。神に全面的な信頼を置く信仰。そしてそれが最後まで叶えられるときまで、浮かれず、騒がず、忍耐強く、祈りを見届ける信仰。私たちも、そのような神の主権に基づいた、どっしりとした信仰を養いたいと思うのです。
祈りの答えを勝ち取ったしもべは、さっそくリベカの結婚の承諾を得るために、父ベトエルと兄ラバンのいる家へと向かいます。しもべの申し出を受けた2人は、「主から出たことに善し悪しを言うことはできない」と、信仰をもって受けとめます。リベカも、この結婚を神の導きとして確信し、家族と故郷を離れ、見ず知らずの土地の会ったこともない人物のもとに嫁ぐ決心をきっぱりと下していきます。
イサクにも信仰が求められます。イサクは自分の妻となるべき人物を自分で見つけ出したわけではありません。しかしそれでも、見ず知らずの相手に主の導きがあることを信頼して、リベカを妻として迎えます。
こうして結ばれた2人は、お互いに契約の主に信頼を置いていきました。人生のさまざまな局面において、いつでも主の御心を求め、明らかにされたところに従う信仰を教えられます。