誰にでも気持ちよくあいさつできる人になりたいと常日頃思っていますが、そんななかで目に飛び込んでくる本書10節「その人にあいさつのことばをかけてもいけません」の文字には一瞬度肝を抜かれます。ヨハネとは実は過激な男なのでしょうか。
この手紙での中心的メッセージは兄弟愛の勧めと反キリストへの警告です。ヨハネは、宛先の教会が真理のうちに歩んでいる様子を彼らとの交わりのなかで確信して喜んでいます。そして続けて真理のうちに歩むように勧め、互いに愛し合うことを勧めます。しかしここにも反キリストは入り込んでいたので、彼ら(反キリスト)に対する最善の防御策として、クリスチャン同士が愛し合うようにと言うのです。
ヨハネは彼らに対しては、家に入れてもいけないしあいさつをしてもいけないと言うのです。私たちには一瞬戸惑いを感じさせる勧めですが、正当な理由があるのです。なぜなら、彼らの文化ではあいさつは単なる儀礼以上の意味を持っていたのです。あいさつは相手の祝福を祈り、仲間であることを確認し、彼らの行動を承認する意味を含むわけです。単なるあいさつが、キリストのからだなる教会に反キリストを招き入れ、キリストのからだを汚すことにつながるわけです。ヨハネがあいさつを禁じた理由は、排他的な理由からではなく、キリストのからだなる教会の秩序と聖さを保つための、その文化を前提とした信仰の知恵だったのです。