ヨハネは、福音書を書いた目的を「イエスが神の子キリストであることを、あなたがたが信じるため、また、あなたがた信じて、イエスの御名によっていのちを得るためである」(ヨハネ20章31節)と言っています。それに対してこの手紙は「あなたがたが永遠のいのちを持っていることを、あなたがたによくわからせるため」(5章13節)に書いたと言います。要は信仰の確信を回復させることと言うのです。
ヨハネはこれまで、キリスト者の信仰を脅かす脅威と内面の罪の性質を語ってきました。そこから、脅かされた信仰を擁護し、キリストへの信仰の確信に再び立ち返らせるための結びへと文章は進んでいきます。私たちをあらゆる信仰的脅威から守り、救いの確信に立たせ、互いに愛し合うことを成し遂げさせるのは、愛の源であるキリストとの関係を築く“信仰”にほかなりません。ふがいない自分の姿に落胆し、愛の貧しい自分の姿に愕然としますが、キリストは義なるお方であり、愛の源です。自分は清くないのですがキリストは清く、そのキリストによって清さにあずかる者とされるわけです。私たちはこの手紙全体をとおして、自分の罪と汚れの故にへりくだり悔い改める者とされて、愛であられるキリストへの信仰を再び堅く保つ者とされるように願います。