パウロはユダヤ人議会(サンヘドリン)において弁明する機会を与えられました。パウロの第一声、「兄弟たちよ」(1節)という言葉に、大祭司アナニヤは激怒しました。ユダヤ人の最高権威者たちである議会に対して「兄弟たちよ」と呼ぶとは何事だというように。ユダヤ律法では、有罪となるまでは被告人を保護しなければならないので、「彼を打て」と命じることは律法に反する行為でした。パウロは皮肉を込めて、「白く塗った壁」とか、「大祭司だとは知らなかった」と言ったのでしょう。
さらにパウロが死者の復活の望みを語ると、サドカイ派とパリサイ派に議会が割れ、パウロに対する裁判も混乱し、パウロはそこからようやく引きずり出されました。
混乱のなかでしたが、パウロは守られました。パウロはこの夜、疲れきってしまっていたり、落ち込んでいたのでしょうか。主ご自身がパウロのそばに立ち、ローマでのあかしの使命を与えます。これからも、いのちの危険にあったとしても、パウロはこの夜の主の励ましをずっと覚えていたからこそ、恐れず危機に立ち向かえたのでしょう。