パウロの民衆に対する弁明は、救いのあかしから、異邦人宣教への召命のあかしへと移ります。パウロの見えなくなった目を開いてくれたのは、「律法を重んじる敬虔な人で、そこに住むユダヤ人全体の間で評判の良いアナニヤでした。さらに神殿において祈っていたときに、主イエスが現れ、主イエスから異邦人へ遣わすと言われたことをあかししました。
異邦人伝道を神からのみこころとする宣言に民衆の怒りが爆発しました。この混乱からパウロを引き出した千人隊長はパウロが生まれながらのローマ市民であることを聞いて驚きました。千人隊長が多額の金で市民権を買ったのに、パウロは生まれながらにローマ市民権を持っていたと知り、千人隊長はうろたえました。それほどローマ市民権は特権だったのです。生まれながらにしてローマ市民権を持っていたパウロだったからこそ、異邦人伝道に大いに用いられた器となれたのです。いや、神は、パウロが生まれる前から、彼をそのような者としてお用いになるご計画だったのでしょう。