百人隊長とは、ローマから遣わされた仕官でした。当時ユダヤはローマの属国で、ユダヤ人はローマ人を嫌い、ローマ人はユダヤ人を軽んじていましたが、この百人隊長はユダヤ人を愛し、そして会堂まで建てたりして、ユダヤ人から慕われていたようです。
長老は、この人は「そうしていただく資格のある人」としますが、百人隊長自身は「その資格のない者です」と謙りました。イエス様はかつて、郷里の人々の不信仰に驚かれましたが(マルコ6章6節)、ここでは逆に異邦人の信仰に「驚かれ」ました。
イエス様は、信頼をよせる者には距離を超越して御業をなさることのできるお方です。いまも、私たちの謙遜と信頼を待っておられることでしょう。
この奇跡を見て思い出すのは、同様の奇跡を行ったエリヤとエリシャでしょう。「大預言者」(16節)とのうわさが地方一帯に広まったのも、当然のことと言えるでしょう。
ナインの女性になされたように、主は「かわいそうに」思い、近づいてこられる方でもあります。