異邦人の医者であるルカによって書かれた。救い主イエスの誕生の前に「主の前ぶれ」であるバプテスマのヨハネの誕生の予告から始める。
神殿に入って香をたくという務めは祭司にとって、一生に一度あるかないかの栄えあることだった。年老いた祭司ザカリヤはそのくじにあたった。その務めの時に御使いガブリエルが彼の前に現れ、男の子の誕生を予告する。ザカリヤ夫妻にとって念願の子どもというだけでなく、その子が主の前にすぐれた者となり、人々を神に立ち返らせ、主のために民を整える働きをするという点においても老夫婦の喜びとなると告げる。
御使いが現れたということを見ても、その予告が真実であることのしるしと取れそうだが、実際にその目で御使いを見、その耳で御使いの言葉を聞いても信じられない時は信じられないのである。ザカリヤが子を宿すには年を取り過ぎていたことも理由として数えられるが、自分の常識を超える新しいことに対する不信が誰の心にもあることを覚える。妻のエリサベツもみごもってから5ヶ月してやっと「主は、・・・今、私をこのようにしてくださいました」(25節)と告白した。
恐れと不安のある者を神は覚えて、憐れんでくださり、ご自身の御業を行われる。神の恵みは受ける資格のない者に一方的に与えられる。