バプテスマのヨハネ(3章2節)は、イエス(4章17節)やイエスの弟子たち(10章7節)と同じ使信を宣べ伝えていた。バプテスマのヨハネは、人間社会を捨てた隠遁者であり、過激な裁きを語る預言者であった。ヨハネの使信と活躍の核心は、来るべき神の裁きに他ならない。イエスや弟子たちが描き出す「天の御国」とヨハネの「天の御国」とは少々強調点が異なっていた。しかし、イザヤが預言したように、ヨハネは後から来る主の道備えをした「荒野で叫ぶ声」であった。
ヨハネはイエスにも悔い改めのバプテスマを授けた。先駆けであるヨハネが来たるべき方であるイエスに悔い改めのバプテスマを授けることは理に適っていないが、真の救い主となるべくイエスは、敢えて罪人と同じ立場に身を置いた。悔い改める必要のない罪なきイエスが悔い改めのバプテスマをヨハネから授かった。ヨハネがイエスにバプテスマを授けたことは、天の御声が承認した。ここでもイエスこそが真の神の子であることが再確認されている。
「すべての正しいことを実行する」とは、直訳では「すべての義を成就する」